はじめに:あの日の涙も、今では強さになった
「納期、4時間後でお願いできますか?」
「単価は…10円アップです!」
こんな言葉に何度、心をえぐられてきたか、もう数え切れません。
私はフリーランスの動画編集者として、約3年間、地道に仕事を続けてきました。
ですがここまで来られたのは、いくつもの“やばい案件”を体験したからだと、今は心から思っています。
あのときはつらくて、眠れなくて、泣いた夜もありました。
でもその中に、「編集者として生き抜くために必要なこと」がすべて詰まっていたんです。
この記事では、そんな私の「地雷案件体験談」を6つ、赤裸々にお話しします。
どれも実際にあったことです。そして、全部“辞めてよかった”案件です。
同じように、動画編集の仕事を頑張っているあなたに届きますように。
※実際に私が体験した内容であり、個人・企業の特定はできないよう配慮しています。
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① まさかの10円アップ…期待して損した
まだあまり実績もなく、生活もギリギリだった頃。
「単価は安いけど、練習になるかも」と飛び込んだ2ch系の動画編集案件。
1本2000円という条件ながら、「継続で単価アップあり」と書かれていたことが決め手でした。
2ヶ月間、真面目に編集を続けて、ある日とうとうその連絡が来ました。
「単価アップさせていただきます!」
やっと報われる…そう思った私に提示された金額は──
“2010円”。まさかの10円アップでした。
もう笑うしかありません。
さらに、ディレクターからは「別案件を紹介したい」と言われましたが、
その後の一言が衝撃的。
「その人、たまにお金払わないことあるんで気をつけてください」
……紹介してくる相手に、それ言う?
危機感はあったけど、当時はまだ「断る勇気」がなかった。
そしてこの紹介が、次の地雷案件の始まりでした。
② グループチャットで公開説教される
紹介された次の案件は、ナレーション系の編集。1本5000円。
報酬は少し上がったけれど、初対面のディレクターAが開口一番こう言いました。
「俺、酒飲んでるんすよ〜w」
Zoomミーティング中に、です。
それでも「単価5000円だしな」と受けてしまった私。
すると案の定、また別のディレクターが介在する体制で、
編集者たちは1つのグルチャにまとめられ、全員が進捗報告を強制されていました。
ある日、納品済みなのに「納品されてませんよね?」と公開で催促され、
他の編集者がグルチャで名指し説教される場面も…
その異様な空気に耐えかねて「辞めます」と送ると、返ってきたのはただのスタンプ一個でした。
▶ 学び:関係性が壊れている現場では、どんな単価も意味をなさない
③ 「プロマネ渡します」→「技術盗まれたくないんで」
Twitterで見つけたある案件。
最初のテスト編集で「あなたの動画が一番でした!本採用です!」と持ち上げられ、
「プロジェクトマネージャーも共有します」と言われて、期待に胸を膨らませていました。
ところが──
いざ本番になるとプロマネは渡されず、代わりにこう言われたのです。
「プロマネ渡して技術盗まれたくないんで」
それ、そっちから“渡します”って言ったんじゃなかったっけ?
しかも納品すると、
「これはテストのときと全然違いますね。がっかりです」と一蹴。
私の技術不足ももちろんあったと思うのですが
信じてたからこそ、手のひら返しが心に刺さった。
「報酬も要りません」とだけ返して、その場を去りました。
▶ 学び:初期に“褒めすぎる相手”は、疑ってかかるぐらいでちょうどいい
④ 初回なのに「前に言いましたよね?」
別のTwitter案件で、医療系の動画編集を受注。
過去の素材やプロマネも共有され、最初は丁寧に対応してくれていたのに…
納品後、「修正きました!」と言われ、記載されていたのが…
「前にも言いましたが、テロップの色変えてください」
いや、私、初回なんですが?
そこからわかってきたのは、
このディレクターもただの仲介役だったということ。
おそらく、
医者 → マーケター → ディレクター → 私
という構造。
こうなると、誰が責任を持つのか曖昧になり、話がすり替わりやすい。
▶ 学び:体制が見えない現場は、言葉も責任も曖昧になる
⑤ 高単価のはずが、心を壊しかけた個人案件
「テロップだけで2万円」
一見、高単価で良さそうに見えたこの案件。
でも、素材を開いた瞬間、背筋が凍りました。
出演者4人、全員がボソボソ話していて、誰が何を言っているのか分からない。
しかも納期は、
「深夜に素材 → 数時間後に納品」というループ。
寝ることもできず、生活リズムは崩壊。
「もう無理です」と泣きながらメッセージを送りました。
「途中で辞めたらトラブルになります」
と返されても、ただ一言だけ送りました。
「精神的にもう限界なんです」
▶ 学び:高単価でも、心と体が壊れたら意味がない
⑥ 修正20回以上…納品しても終わらなかった地獄
企業からスカウトを受けた事業紹介系の案件。
やっと安定するかと思ったのに、始まったのは終わらない修正地獄でした。
誤字でもない誤字修正、画像差し替え→戻し、サムネ修正は20回以上。
さらに…
「今日公開なんで、修正だけお願いします!」
と言われたのが、出先で対応できないタイミング。
公開日を事前に聞いていたのに、突然変更されることもしばしば。
極めつけは、動画内に別の編集者の名前で指示があったこと。
「あ、私って“代わりの人”なんだな」
と、気づいた瞬間でした。
▶ 学び:拘束されるのに自由がない案件は、仕事ではなく“束縛”になる
地雷案件の共通点まとめ
危険サイン | 内容 |
---|---|
急すぎる or 来ない連絡 | 納期や連絡が曖昧 or 突発 |
不透明な体制 | 間に人が多く責任が見えない |
曖昧な誘い文句 | 「単価アップあり」「ディレクター候補」など |
修正の回数制限がない | 無限に時間を奪われる |
実質的な拘束がある | でもその分の対価がない |
初対面からプレッシャー | 嫌な予感は大抵当たる |
最後に:あなたが悪いんじゃない
「こんな案件に引っかかるなんて、自分が甘いのかも」
そう思ったこと、私も何度もあります。
でも違う。
ブラックな環境に当たったからといって、あなたの価値は下がらないんです。
この記事が、少しでも「安心材料」になっていれば嬉しいです。
そして、同じように悩む誰かに、届いてくれたらもっと嬉しい。
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